手つむぎ オーガニックコットン

古代染織家|前田雨城×益久染織研究所社主|廣田益久

古代染織家|前田雨城×益久染織研究所社主|廣田益久 対談

第一回「出会い」

2012 . 3.17 更新
記:小林(益久染織研究所)

“全身全霊” “祈りを込めて”...
雨城館に展示されている着尺、
前田先生が染められた法隆寺献納宝物復元色。
1400年前から変わることのないものは、
色だけでなく、一子相伝の想い。

古代染織家|前田雨城×益久染織研究所社主|廣田益久 対談

廣田
「この一生懸命に染めた時もそうやけど、織りをする時も祈るように織ってたなあ。特にねえ、整経(経糸の準備)や綛上げ。あれこれ違うこと考えて、心に迷いがあった時は糸がくちゃくちゃになって、そらもうどうしようもないことになる。染めも織りも、心静かに祈るようにやらなあかんねえ、想いを込めてね」

— はい、身に覚えがあります。糸をさばいているときにからめてしまい、焦ってするものだから余計にからんで、また焦って。結局、専務に助けて戴きました。その時に思いました。糸は生き物だから、真摯に向き合おうと。

さて、素朴な質問ですが、(雨城館の復元色を見ながら)この法隆寺献納宝物の復元色を手がけられるようになったのは、どのようなきっかけでしょうか。

前田先生
「うち(家)は京都で薬種業を営んでいて、戦争から帰ってきてからしばらくは小学校の教師をやってました。それで、私の教え子の父親で二村紅華という人からね、「朝廷に昔から伝わる草木の染めをやってみないか」と声をかけられて。

その人はねえ、御所に出入りできる人で、高倉家染頭32代目。紅師と呼ばれていた。 『日本古来の技術を絶えさせるのは惜しい』と後継者を探しておられたみたいで。 息子さんもはじめは一緒に私と教えを受けていたんやけど、他にやりたいことがあるからと 間もなく去ってしまい、私が染頭の33代目を継ぐことになりました。」 

次回へ続く...

古代染織家|前田雨城
インタビュー|第1回 出逢い インタビュー|第2回 祈り インタビュー|第3回 想い

インタビュー|第4回 秘伝 インタビュー|第5回 口伝 インタビュー|第6回 口伝