2012 . 2.17 更新
記:小林(益久染織研究所)
...なるほど。古代の染めの[心]・[自然]という深遠なる気持ちが、
お二人の結びつきになっているということがわかりました。
古代染色の研究、染織教室の代表。行っていることは異なっても、根源的な想いは一緒。
だから出逢ったのも偶然ではなく、必然ということ...。
― 前田先生は色の鑑定として、反射光・透視光・定性分析といった科学的根拠に基づいた検査をされています。しかし、それよりもっと大切なこととして講義や書籍にて、“祈り”ということをおっしゃっておられます。それはどのようなことでしょうか?
前田先生
「古代の人たちにとってはね、色彩は美のためというより祈りのためにあった。
外敵や病気から身を守るために、祈りを込めて染付けした色彩を身に付けていた。
古代には祈りが最高の科学でしたからね。現代の人々とは全く違う概念を持っていたということ
ですわ。」
「草木には霊が宿ると考えて、そういうのを木霊(こだま)と呼んでいて、すべての草木はこの木霊 の働きによって成長し、花を咲かせ果実が実ると考えていたんです。そのなかで強い木霊の宿る 草木は薬草として使用したわけ。薬草に宿る霊能が病気という悪霊によって引き起こされた 症状を人体からとりのぞき、悪霊をしりぞける作用があると考えていた、古代の人はね。 衣類など繊維品の染色に、その色彩を得るための草木を薬草のなかから選んでいるのは、 こうしたわけですよ。」